逮捕 差押|5P|覚せい剤取締法違反被告事件

逮捕 差押 高裁判例下級裁判例。平成4(う)709 覚せい剤取締法違反被告事件の5ページ


 四 したがって、原判決に訴訟手続の法令違反があるとは認められない。
論旨は理由がない。
 第二 量刑不当の主張について 所論は、要するに、被告人を懲役一年に処した原判決の量刑は、重過ぎて不当である、というのである。
 記録によれば、本件は、被告人が、原判示の各日時、場所において、覚せい剤を自己の左腕部に注射して使用し(原判示第一の事実)、かつ、覚せい剤約〇・四一一グラムを所持した(原判示第二の事実)、という事案である。
 被告人の行為は、それ自体強い社会的非難に値するうえ、被告人は、体調が優れず、胃も痛かったことから、覚せい剤を注射して気を紛らそうという安易な動機で、覚せい剤を有償で入手して使用するとともに、その一部を所持していたものであり、被告人には昭和五九年三月覚せい剤取締法違反罪により懲役一年八月に処せられた本件と同種の前科や昭和六二年五月傷害罪で懲役四月に処せられた原判示の累犯前科もあるのに、またも、本件犯行を重ねたもので、その規範意識は乏しいと認められることなどを考えると、被告人の罪責は重いというべきである。
 そうしてみると、本件所持にかかる覚せい剤が比較的少量であったことなど被告人のため酌量することができる諸事情を考慮しても、被告人に対する原判決の量刑が重過ぎて不当であるとはいえない。
 なお、所論は、原判決が、本件に算入した一六〇日間の未決勾留日数は少な過ぎると主張するが、被告人の勾留日数は、勾留の当初から起算すると二七七日、起訴後で二六〇日であるから、本件事案の内容、原審における審理の経過等に照らせば、その算入日数が少な過ぎるということはできない。
論旨は理由がない。
 よって、刑訴法三九六条により本件控訴を棄却することとし、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 小林充 裁判官 宮嶋英世 裁判官 中野保昭)

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